アメリカで大腸カメラを受ける

大腸カメラのアイキャッチ アメリカ生活
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アメリカで大腸カメラを受けることになった。

そう聞くと、少し不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

私もその一人でした。

日本での人間ドックの結果がアメリカに届き、「大腸カメラを受けてください」と書かれていたのがきっかけです。

慣れない英語での受診、医療システムの違い、そして未知の検査……。

「どうやって予約するの?」「どんな準備をするの?」「怖くないの?」など、わからないことだらけでした。

この記事では、実際に私がアメリカで大腸カメラを受けた体験を、

予約の流れから検査当日の様子、そして日本との違いまで詳しく紹介します。

これから検査を受ける方や、海外での医療に不安を感じている方の参考になればうれしいです。

なぜアメリカで大腸カメラを受けることになったか

医師がはてなを持っている

そもそも、なぜアメリカで大腸カメラを受けることになったかというと…。

日本に一時帰国した際に人間ドッグを受けた結果が、アメリカに戻ってから来ました。

その検査結果に、『大腸カメラを受けてください』と書いてあったんです。

正直怖かった…。

大腸カメラは受けたことがなく、しかもそれをアメリカで受けなければならないというのも怖かったです。

でも、次に日本に行けるのは1年後かそれ以降か、わかりません。

不安もあったので、早めに検査を受けたいと思い、アメリカで大腸カメラを受ける決意をしました。

アメリカで大腸カメラを受けるにはまずどこに行けば良いか

悩む人

アメリカで大腸カメラを受ける場合、まずどこに相談すれば良いか迷う方もいるかもしれません。

基本的には、日本のように「消化器内科に直接予約する」という仕組みではありません。

一般的には、まずかかりつけ医(Primary Care Physician:PCP)に、大腸カメラを受けたいと相談します。

かかりつけ医が消化器内科(Gastroenterologist)に紹介状(referral)を出し、専門医の診察を受け、検査日を決めます。

ただし、私の場合は少し違いました。

いつものクリニックに入ると、同じ施設内に消化器内科の先生がいて、最初の診察からその先生が担当してくれました。

「大腸カメラを受けたい」と伝えると、すぐに検査の説明があり、次の予約で実際に検査を受けることができました。

病院の規模や体制によっては、かかりつけ医と専門医が同じクリニックに在籍していることもあります。

その場合は、紹介状を待つ手間が省け、比較的スムーズに進むようです。

私は、思った以上に早く検査が受けられました。

一方で、保険の種類(HMOやPPOなど)によっては紹介状が必要な場合もあるので、念のため受付で確認しておくと安心です。

また、アメリカでは「予防目的(screening)」としての大腸カメラは、多くの保険で全額カバーされることがあります。

ただし、症状があって受ける「診断目的(diagnostic)」の場合は自己負担が発生することもあるため、予約前に保険会社やクリニックで確認しておくと良いでしょう。

また、「ポリープが見つかって切除された場合」は、診断的検査扱いになり、自己負担が発生することがあります。

地域や医療機関によっては、検査まで数週間〜数か月待つ場合もあります。

検査前の準備と流れ

薬瓶と薬と水

大腸カメラの予約が決まると、次は検査に向けた準備が始まります。

腸の中をきれいにしておくことがとても大切で、アメリカでも基本的にはそのための前日準備があります。

日本では、検査3日前から食事制限があります。

私の場合、病院からの具体的な指示は検査前日からのものでした。

内容は、「検査前日から固形物は食べないで、液体のみ(clear liquid diet)にすること」。

水・スポーツドリンク・透明なスープ・赤や紫以外のゼリー・ミルクなしのコーヒーや紅茶などはOKですが、固形物は禁止。

赤や紫のものがNGなのは、腸に残っていた時に出血と見分けがつきにくいから。

そして、検査前日の午後から下剤を飲む指示がありました。

ただ、私の場合は処方箋が出るわけではなく、自分でドラッグストアに行って購入するスタイルでした。

指示書には「Ducolax」「Miralax(ミララックス)」「Fleets enema」などの薬の名前が書かれています。

私は、近所のWalmartへ行き、薬局のスタッフに指示書を見せて確認しました。

すると、「これはジェネリック(同等品)でも大丈夫。こっちの方が安いよ」と教えてくれました。

薬局の人がとても親切で、安心して購入できました。

私が指示されたのは、午後1時にDucolax5㎎を4錠内服。

また、Miralax238gを64オンス(約1893ml)のゲータレードかそのほかの透明な液体に混ぜておく。

午後3時から、そのMiralaxを溶かした液体を30分に1回8オンス(約237ml)ずつ、なくなるまで飲むと言うものでした。

私はゲータレードのレモンライム味に溶かしました。

ゲータレードを普段飲むことがなかったんですが、飲んでみたら意外とおいしくて、飲むことに苦痛はありませんでした。

ゲータレードのレモンライム味はおすすめですよ♪

飲み進めるうちにお腹がゴロゴロして、夕方から何度もトイレに行くことに…。

けれど、思ったよりお腹の痛みはなく、思ったよりも苦痛は少なかったです。

前日の準備は、思ったより苦痛が少なかったという印象。

病院からは前日の指示しかありませんでしたが、私はもともと便秘ぎみでした。

念のため3日ほど前から消化の良い食事に切り替え、アルコールも控えるようにしました。

ネットで調べて自主的に行ったことですが、結果問題なく検査ができたので、よかったかなと思っています。

検査当日の体験談

大腸の影と虫眼鏡

検査当日は、朝8時半までは透明な液体は飲んでも良いが、それ以降は何も飲まないよう書かれていました。

また、7時半と8時の2回、自宅で浣腸(enema)を行うよう指示がありました。

これが一番つらかった部分です。

実は昔、日本でイチジク浣腸を自分でしたことが何度かあります。

それよりも挿入する部分が短いのか、注入するときの体勢がとても辛いんです!

挿入した体勢で浣腸液を注入するのに、手に力が入りづらく、最後まで浣腸液が入らない。

全部入らなくて、入る分で諦めました。

また、これは1回目の浣腸をしたときに後悔したんですが、挿入部分にワセリンを塗っておくべきでした…。

なぜなら、浣腸を挿入して後から肛門がとても痛くなってしまったからです…。

効果が出てトイレに行ったときにも痛い。

2回目は、ワセリンを塗って浣腸を行いましたが、それでも痛いし、そのあとの排便も苦痛でした。

でも、なんとか準備を終えて、主人に送ってもらい、病院に向かいました。

病院到着後から検査まで

問診表

病院に到着してから、体温と血圧、SpO2(酸素飽和濃度)を測定し、問診します。

私が検査をした病院は、アプリで通訳の方とテレビ電話をして翻訳しながら問診などをしていきます。

次に、指示通り内服や浣腸をしたか、水分はいつから取っていないか、便の状態はどうか聞かれます。

大腸検査の前は、便が透明または薄い黄色になり、固形物やカスがない状態にならないといけません。

前日の夜には、薄濁りの透明な状態になっていたのでそれを話したら、検査可能と判断されました。

とりあえず安心。

鎮静剤で寝ている間に検査をすることや、検査の流れを説明されてから、検査の同意書にサインをします。

女性で生理が止まっていない場合は、尿を取って、妊娠していないかの検査もされました。

そのあとは、靴下だけは履いた状態で、あとはすべて脱いで、後ろが紐で結ぶタイプの検査着に着替えました。

不思議な恰好でした。

靴は脱いで、シューズカバーみたいなものを靴下の上から履いて、ベッドに歩いて移動します。

ベッドに横になると、また問診が始まりました。

その時意外な質問をされました。

「最近うつっぽく感じることはありますか?」「自殺を考えたことはありますか?」という質問でした。

どうやら鎮静剤(Sedation)に関係しているようです。

大腸カメラでは、意識を軽く落とす鎮静薬(たとえばプロポフォールなど)が使われることが多いです。

これらの薬は一時的に気分を落ち込ませたり、精神的な影響を与える可能性があるそう。

そのため、うつ症状や自殺願望の有無を事前に確認して、安全に投与できるかをチェックしているのだと思います。

それまでは看護師が問診していましたが、麻酔科医の先生も来て、アレルギーの有無など確認していきました。

そのあと、看護師が点滴のルートを取ります。

準備ができたら、ベッドのまま検査室に連れていかれました。

左向きに横になるよう言われ、そのあと「眠くなるよ」と言われ、鎮静剤が投与されます。

これが入ってくるときにジンジン痛いんです。

説明の時に言われていたんですが、まあまあ痛くて「Auchi」「Ache」と看護師に訴えてしまいました。

点滴が入っているところを少しなでられてすぐから記憶がありません。

気付くと、検査前の部屋に移動していました。

検査後の体調や感想

女性がお腹に手を当てる

本当に検査は終わったの?くらいの感覚でした。

検査直前に見た時計から1時間くらい時間が経っていました。

浣腸で痛かった肛門も、検査で痛くなるんじゃないかと正直不安だったんですが、痛みの余韻も全くありません

ちょっとぼーっとして、なんだかまだ寝ていたいな~と言う気分。

看護師が「何か食べ物と飲み物を提供するけど何が良い?」と言われ、何がもらえるか言ってくれます。

選択肢の中から、ブルーベリーマフィンと温かいティーを選び、最初に着替えをした部屋まで歩き、食事をもらいます。

家族を呼ぶよう言われ、自宅で末娘と待機していた主人を呼びました。

鎮静剤投与後は判断力などが鈍るので、24時間は運転や、重要な判断は避けるよう言われています。

だから、家族も一緒に検査後の話を聞くんだと思います。

看護師から、おそらく良性と思われるポリープを取ったこと、24時間は刺激物や飲酒は避けることを伝えられました。

事前に検査2週間後に受診予約をしており、その時にポリープの結果など詳しいことを先生から伝えるとのことでした。

これで検査は終了。

ここで引っかかったことがありました。

ポリープを取ったのに、刺激物を避けるくらいの食事制限で良いの?

日本だと、ポリープを取った場合、その日は絶食または流動食、翌日から普通食と、もう少し慎重な指導が多い印象。

また、入院や日帰り手術扱いになることもあり、当日は安静を勧められることが多いですよね。

アメリカでは、日帰りでのポリープ切除が一般的です。

鎮静剤が切れたあとに意識がはっきりしていればすぐに帰宅できます。

食事制限も比較的ゆるく、体調が問題なければその日のうちに通常の生活に戻ることが多いようです。

私の場合もそんな感じでしたね。

文化や医療制度の違いを感じましたが、実際に受けてみると「思ったよりシンプルでスピーディー」だと感じました。

もちろん、出血や腹痛などの症状があればすぐに連絡するようにと言われましたよ。

私は少し心配だったので、5日くらいは禁酒と、消化に良いものを食べるように気を付けました。

アメリカで大腸カメラを受ける まとめ

ウッドの壁とまとめブロック

今回、初めてアメリカで大腸カメラを受けてみて感じたのは、

「思っていたよりもずっとシンプルでスムーズ」だったということです。

言葉の壁や医療の違いに不安を感じましたが、スタッフの対応も親切で、検査は眠っている間にすべて終わりました。

一番大変だったのは当日の浣腸くらいで、検査自体の痛みや恐怖はほとんどありませんでした。

日本と比べると、自己準備が多く、検査後の指導がシンプルという違いはありました。

しかし、それも「合理的で日常生活に戻りやすい仕組み」と感じました。

海外で医療を受けるのは勇気がいりますが、今回の経験を通して「検査してよかった」と心から思います。

これからアメリカで大腸カメラを受ける方が、少しでも安心して準備・受診できるような参考になれば幸いです。

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